離職率に見る介護業界の将来

昔から、介護業界は仕事がきついといったマイナス要素と合わせて、離職率も高いと思われてきた。しかし実際の統計結果を元にすると、イメージとは異なる状況が浮き彫りになる。厚生労働省が調査・統計を行なっている「雇用動向調査」の最新の結果を見ると、医療・福祉分野での離職率は約15%となっており、主要産業全体平均も15%程度である。最も高い数値を示した宿泊業・飲食サービス業が29%となっており、最も低い建設業や製造業などでさえ10%前後であることを考えると、介護業界で異常に離職が起こっている訳ではない。
それではなぜ、これほど介護の現場で離職者が多いと考えられる様になったのか?これには3つの理由が考えられる。1つは過去の状況だ。確かに10年ほど前は現在よりも労働条件が悪く、実際に離職者も多かったため、その当時のイメージを払拭できていない事が原因だと言える。次に雇用形態が挙げられる。介護の現場では、正規職員に対する非正規職員の割合が高く、その非正規職員の出入りの多さが影響していると言える。最後に2極化構造についても無視できない。未だに処遇も悪く、教育も不十分なまま業務に従事させる様な、いわゆるブラック運営を行なっている介護施設も存在し、職員が仕事に満足している職場との間で、人材の定着について2極化が起こっていると考えられる。
これらから、介護業界の離職率は決して高くなく、むしろ年々低下していると言える。最近は政府方針として、介護を重要な位置付けと捉え、人材確保や処遇改善を進める施策も打ち出されており、将来が期待できる職種だ。